荒野を旅する蛇

投稿者: | 2018年7月11日

むかしむかし、あるところに、サボテンだらけの荒野がありました。
ある蛇が、その荒野を旅しています。蛇は荒野にあると言われている、東洋の皇子の陵墓を目指しているのでした。

荒野のまっただ中のとても小さな水場で、蛇はゾウリムシに言われました。
「この荒野にある墓は、そもそも君が探しているものとは違うよ」
そんなことをゾウリムシが知っているとは思えないと、蛇は考えましたが、確かにゾウリムシの言うとおりでした。

蛇が探していたのは、故国から遠く離れて荒野で暮らした東洋の皇子の墓でしたが、この荒野にあったのは巨大なピラミッドだったのです。
調べてみたところ、ピラミッドは今も昔と変わらない堅牢さでそこに建っていましたが、長い年月の間にすっかり盗掘されて、中は空っぽの様です。
そして、ピラミッドの壁面には、荒野で暮らす知恵についての絵文字が沢山描かれていました。

蛇はがっかりしました。なぜなら蛇は、家のある自分の故郷に沢山の雨を降らせるための秘密を探して旅をしていたからです。
そして、蛇は考えます。
宝は盗まれてしまっているけれど、このピラミッドに刻まれた知恵は、おそらく今もこの荒野で楽園の様に暮らす方法を示している。
もし自分が目当ての墓を見つけたとして、求めている秘密を知るには、墓をあばかなければならないのか、それともこうしてただ知ることができるのだろうか。

かつて何処かの荒野に、政争に敗れた東洋の皇子が流れつき、死ぬまでそこで暮らしたそうです。
皇子が暮らしていた間、荒野ではサボテンが水を吸って破裂してしまうほどの雨が降って、生き物たちは水に困らずに暮らしました。
皇子の死後、彼の臣下は皇子の天候を操る魔法と、治水の技術を彼の墓に封じて故郷に去ったと、蛇はそんな伝説を手掛かりにこの荒野を目指したのでした。

蛇は、一体どこを探せば、彼が求めている秘密にたどり着き、秘密を知ることができるのでしょう。



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