パッと消えた

投稿者: | 2018年7月29日

むかしむかしあるところに、パッと消えてしまいました。
消えてしまったのが、あるところにあったものなのか、あるところも消えたのか、むかしむかしという時間までも消えてしまったのか、もうとにかく綺麗さっぱり消えてしまったので、なんにもわからなくなってしまいました。
海に沈んでしまったという様な失われた大陸の様な消え方ではなく、届かないままに失われたせいで、存在したかもわからなくなったとかいう、ヤギたちの手紙よりもややこしい消え方でもなく、とにかく虫眼鏡で覗いてみても、なにひとつ発見できないという様な単純な消え方でもありません。
ひょっとしたら、消えてしまったこと、そのものも消えてしまったかもしれないのです。
証拠を求めて本を探しても、最初から書かれていたものが消えたわけではないので、消えた部分を探したり、消えたものについての本の中を探しても、そもそも発見できません。
どんな計器のメモリを見ても、そもそも消えたことは観測できるかもしれませんが、やはり、消えてしまった以上はもし計測されていたとしても、もう確認する術が無い可能性はたかいものと考えられます。
ただし、長く伸びたので刈り取られた羊の毛の様に、消えることはあらかじめわかっていたことだということがわかります。パッと消えたことはわかるのです。
そのことだけは、どんな家からでも、生まれて初めて飛行機に乗って旅をする様な、落ち着かない気分だったとしてもわかるのです。
パッと消えた。果たしてなにが消えたのでしょうか。むかしのことらしいので、本当にもうわからないのです。



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