白玉古本店の建物は内川側と商店街側の両方が正面というか、長細くて両端が道に面している形になっています。
古本屋の反対側は劇団の稽古場として利用しているのですが、春からそこで、朗読教室が開講されています。
講師の長澤泰子さんは、富山市、高岡市で他にも朗読教室の講座を持っておられる他、富山県内で放映される様々なCMなどでも声を担当しておられます。
お店に居て、朗読教室のチラシに目を留める人に教室をオススメすると、「興味はあるけれど、やっぱり人前で何かするのはちょっと……」といったお返事をもらうんですが、日常会話はみんなそれなりにやっているし、読書もしている筈。
敢えて声に出してみることで、人前で何かをするというよりも、自分の読書体験を深めるきっかけを得られますよとお知らせしています。
黙読は、とても個人的な行為で、誰かと感想を共有することはあっても、体験自体を共有することはできません。
しかし、あえて声に出してみることで、自分がどんな風に読んでいるのか、あるいは黙読で通り過ぎてしまっていた、作品の細部に改めて気づくことができます。
加えて朗読教室がお得なのは、鑑賞した通りに声を出してみることで、実は、自分の「普通」がどんな風だったのかを、知る手がかりも得られることです。
他人が聞いているのと同じ様に、自分の肉声を聞くことはできないので、人は意外と、自分が思っているイメージの通りには声を出せていないのでした。
例えば少しだけ寂しそうな感じで声に出しているつもりが、ものすごく寂しく聞こえたり、極端な時は特に寂しさは出ていなくて、むしろどこかユーモラスだったりすることもあります。
「日常会話だと、意外といい加減でも考えが伝わっていた」「自分でもあまり自覚しないまま、声の調子から、こんな人だと思われていた」など、様々な発見があります。
実際、言い方の調子を変えてみても、声の出し方自体はワンパターンだったりとか、がんばって正確に読んでみても、そこには自分の感じていることを乗せられなかったりと、やってみたらわかることや先入観も沢山あるのでした。
長澤さんは、アナウンスのテクニックや、朗読教室での発見から、敢えて声に出してみることを通じて、様々な発見や楽しみを見出す方法を教えてくれます。
古本屋の向こう側でやっている朗読教室。いかがでしょう。
朗読教室の詳しい内容や日程は、長澤さんのホームページから確認できます。